住まい情報

マイホームと税 ~応用編~ 共有物件のメリット・デメリット

2023.4.10

税理士の森下正之です。
マイホームに関わる税の応用編をご紹介します。

共稼ぎ世代が多くなった今、夫婦でマイホーム購入、親子で二世帯住宅など、共有物件としての住宅購入に関するご相談が多く見受けられます。
確かに、共有で購入するメリットもありますが、デメリットや注意点もあります。
今回はこの点に関して、税務的な観点から執筆させて頂きます。

■ 共有するメリットとは?

まずは、共有するメリットからお話します。
購入の際の住宅ローン控除を、共有者それぞれが受けることができます。
一人でローンを組んだ時と比べると恩恵が倍以上となり、かなりお得になります。

マイホームを売る時の恩恵もあります。
それが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。
この制度を簡単に説明すると、住んでいた家を売ったときに、その金額が3,000万円以下であれば税金がかからないというものです。
これもまた、共有者それぞれが利用できるので、その効果は絶大です。
居住用財産を譲渡したときの特例は、その他にも色々ありますので、国税庁ホームページを是非参照してください。

■ 共有するデメリットとは?

次に、共有するデメリットと注意点です。
デメリットと言っても、末永く(最低でも共有物件を売却するまで)お互い仲良く生活を共にしていれば何も問題ありません

住宅ローン控除に関しては、その要件として“年末まで引き続き居住”していた場合に限り、住宅ローン控除を利用できることになっています。なので別居をしてしまうと、家を出た人は住宅ローン控除を受けることができません。
また、離婚による財産分与(所有権の移転登記)のタイミングによっては、贈与税が課税される恐れもあります。

土地・家屋の所有権保存登記の共有割合については要注意!
登記する共有割合は、その取得に要した出資額の比率に応じて登記しなければなりません。
“二人仲良く半分ずつで登記”は非常に危険です。双方が用意した資金が同額であれば問題ありませんが、異なっている場合には、その差額が贈与となり贈与税が課税されてしまいます。
他の共有者より所得が低い専業主婦などの場合、二人で貯めた“生活資金の一部”を差額に充当されるケースがありますが、これもまた他の共有者からの贈与と見なされることがありますのでご注意ください。

ピックアップ ポイント!

<不動産取得税・固定資産税・都市計画税など税金の負担割合>
税金の負担額は、まず全体の税額を算出します。その持分割合(登記割合)に応じ按分計算をして、それぞれの負担すべき税額が算定されます。
ちなみに、納税通知書は共有者それぞれに送付されてきますが、年税額を納める納付書は共有代表者に送付されてきますのでご注意ください。(一部自治体によっては、その扱いがことなります。)


 “マイホームと税”について、もっと知りたい方は、2023年5月7日(日)にセミナーを開催しますので、是非ご参加ください!
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森下正之
税理士
森下正之
【資格】
  • ・平成17年12月9日 第55回税理士試験 官報合格

森下正之税理士事務所 所長
tvkハウジングプラザ横浜がセミナーを開始した平成21年7月当初から登壇し、住宅に関わるセミナーを多数開催。大手生命保険会社などでも、相続セミナーなどの実績あり。