暮らしのヒント

高さを抑えた低めの家具で、お部屋を広々と見せる目線マジック

2024.7.10

みなさん、暑い毎日をいかがお過ごしでしょうか。今年もかなりの酷暑が予想されますので、クーラーを効果的に使用して涼しく快適な毎日をお過ごしください。

今回は『目線のマジック』でお部屋を広く見せるテクニックをお伝えします。
暑い時間の外出を避けて、広々とした室内でゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。

目線のマジックとは

日本人は長らく床座の生活スタイルでしたが、戦後からは椅子座中心の生活スタイルに移行したので、現在では多くの方が椅子に座る生活を送っていらっしゃると思います。

床座の生活では家具が少なくてすむため、お部屋をスッキリ広々と使える暮らしが出来ていました。今でも温泉旅館などに宿泊した際には、その心地よさを味わうことができます。

ではなぜ床座の生活が部屋を広々と見せていたのでしょうか。
それは床に座ることで天井までの距離が視覚的に長くなり、部屋全体に広がりを感じるようになるからです。

このような目線のマジックを取り入れて、広々としたお部屋づくりを始めてみませんか。
タイプ別に解説していきますので、ぜひお部屋づくりの参考にしてみてください。

お部屋タイプ別 目線マジックの取り入れ方

ダイニングルーム編 : テーブルの高さを変えてみましょう
ダイニングテーブルは一般的に70cm程度の高さのものが多く市販されています。
こちらを65cm程度のロータイプにすることで、お部屋の広さの印象が大きく変わります。

たった5cmで?と思われるかもしれませんが、ダイニングテーブルの天板は面積が大きく人の視線が集中するため、その高さを下げることで天井までの距離感を強調でき、結果的にお部屋を広く見せる効果が生まれます。

ダイニングテーブルの高さを変える際にご注意頂きたいのが、ダイニングチェアの選び方です。

今までと同じ椅子では人間工学的に使いやすい寸法(椅子の座面とテーブル高さの差27~30cm)から外れてしまうため、高さが合わず使い勝手が悪くなってしまいます。

そのためテーブルと一緒にダイニングチェアも検討することをおすすめします。ダイニングチェアは背もたれの高さが低めのものを選ぶことで、さらにお部屋をスッキリと見せることができます。

リビングルーム編 : 全体の高さを抑えて部屋を広く見せましょう
ソファも人の視界に入る面積が大きいアイテムです。
高さを低くすることで全体的に目線が下がり、天井との余白ができるため視覚的に広がりを感じられます。

低めのソファを選ぶ際は、座った時の頭や肩の位置などを確認するようにしてください。
低さだけを基準に選んでしまうと、頭や肩を十分に支えられず体をくつろがせることができなくなってしまう場合もあります。特に頭部は体重の8%の重さがあるため体への負担も大きくなります。
実際に座って体にフィットするソファを選ぶようにしてください。

また床座と椅子座のミックススタイルとして、ソファを背もたれにして床に座ってくつろぐ方もいらっしゃるかと思います。
お好みのラグやクッションを用いて現代的な床座を楽しむスタイルも素敵ですね。

そして、リビングルーム全体の高さを低くした場合、忘れてはいけないのがテレビの高さです。

テレビを視聴する際は、画面の中心から目の高さがが30〜50cm下がった位置が最適とされています。
テレビの大きさにもよりますので、ソファを低くした際には、目線とのバランスを考慮してテレビ台の高さを決めるようにしてください。

ベッドルーム編 : ヘッドボードの高さを見直してみましょう
ベッドは大きく分けると、ヘッドボードとマットレスに分類されます。

一般的なマットレスは椅子と同程度の高さですが、極端に低くしてしまうと立ち上がる際に腰を痛めてしまう可能性がありますので、まずはヘッドボードの高さを低くすることから検討することをおすすめします。

ホテルのようにヘッドボードとサイドテーブルを一体化させると空間にまとまり感が生まれ、視線を低い位置に集約できるため、天井をより高く感じられる効果が得られます。

番外編:照明の効果も取り入れてみましょう
日本の住宅の特徴として、天井の照明を多用する傾向があります。

欧米の住宅では天井には照明をあまり設置せず、間接照明で光を得る方法が好まれます。
間接照明の柔らかな光はリラックス効果があると同時に、陰影により室内に奥行き感が出て部屋に広がりが生まれます。

天井を高く見せたい場合は、下からの間接照明で天井を照らし、天井に当たる光に視線を向かせることで高さを演出することができます。

また部屋に奥行き感を出したい時などは、コーナーや壁面を集中して照らすことで、周囲の壁との陰影の対比で奥行き感を持たせることができます。

光の陰影による目線のマジックは効果が分かりやすいので、天井の照明をオフにしてぜひご自宅で試してみてください。

山下智恵子
インテリアデザイナー
山下智恵子
【資格】
  • ・インテリアデザイナー
  • ・二級建築士

輸入家具会社や大手組織設計事務所、モデルルーム会社、百貨店内装会社を経て2013年に独立。
住宅、オフィス、店舗、などのインテリアデザインの他にインテリアセミナーの講師も行う。
https://www.estedit.com/