税理士の森下正之です。
マイホームに関わる税の上級編です。
少し難しい専門的な用語もでてきますが、大切なことなので是非最後まで読んでみてください。
現代社会の三大支出をご存知でしょうか?
近年においては、“住宅資金” “老後資金” “教育資金”が支出の御三家です。
それぞれに対して優遇税制が設けられています。
この制度をうまく活用して“住宅資金”を用意してみてはいかがでしょうか?
その観点(意図)と相続税対策としての観点から今回のコラムを執筆しています。
“木を見て森を見ず”という言葉がありますが、“住宅関係”ばかりに目をとらわれずに色々な優遇税制に目を向けて、マイホーム購入を計画・検討してみてはいかがでしょうか?
■直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
最初にご紹介するのは、居住用家屋(マイホーム)の取得等に充てるため、直系尊属(父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族)から金銭の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすときには一定額まで贈与税を課さないという制度です。
もちろん相続税の対象にもなりません。実はこれは非常に古い制度で、平成21年から実施されており、制度の期限が到来する度に内容を変更して延長されてきたものです。現段階における制度の概要としては次の表の通りで、適用期限は“令和5年12月31日”となっています。
申告手続き等に関しては、贈与税の申告時期(贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで)に受贈者(もらった方)の住所を所轄する税務署において行います。
■直系尊属から教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税
これは、直系尊属(贈与者)が30歳未満の直系卑属(受贈者)に、教育資金等を金融機関等との一定の契約に基づき令和5年3月31日までに受贈者名義の口座を開設して拠出(信託)した場合には、受贈者1人につき1,500万円までの金額については贈与税を課さないという制度です。
この制度は、平成25年4月1日から、制度の期限が到来する度に内容が改訂され延長されてきました。
今回、“富裕層の優遇措置だ”と制度が廃止されそうになりましたが、令和5年税制改正大綱ではちょっと話が変わってきたようです。
現代社会の三大支出の一つである教育資金は、幼稚園から大学まで全て公的機関(市区町村立や県立、国立)でも約1,000万円はかかると言われています。アメリカではインフレで大学だけでも4,000万円ほどかかるようです。また、非課税枠は、前出の住宅取得等資金よりも多い金額です。お父さん・お母さん・おじいさん・おばあさんからうまく資金を融通してもらい、その援助して頂いた分を住宅資金に回してみてはいかがでしょうか?
※申告手続き等に関しては注意が必要です。この制度の申告手続きは、金融機関等の営業所等を経由して“教育資金非課税申告書”を提出することになります。
■直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
最後は、直系尊属(贈与者)が、“結婚・子育て資金管理契約”を締結する日において20歳以上50歳未満の直系卑属(受贈者)に、結婚・子育て資金等を金融機関等との一定の契約に基づき令和5年3月31日までに受贈者名義の口座を開設して拠出(信託)した場合には、受贈者1人につき1,000万円までの金額については贈与税を課さないという制度です。
この制度は、平成27年4月1日から、制度の期限が到来する度に内容が改訂され延長されてきました。この制度も、前出の教育資金の一括贈与と同じく廃止論がありましたが、なくなることはなさそうです。
注意点としては、“結婚に際して支払う金銭については300万円が限度”となっている点です。差分の残金は“子育て資金”として利用しなければなりません。
※この制度も申告手続き等に関しては注意が必要です。金融機関等の営業所等を経由して“結婚・子育て資金非課税申告書”を提出することになります。
※2023年2月3日
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マイホームと税 中級編に補足事項を追記しました。
マイホームと税 中級編→
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ピックアップ ポイント! <“適用要件”と“残額の扱い”には要注意!>
このコラムでは、“こういう制度があります”と制度の概要しか紹介していません。
ご紹介した制度をご利用される場合は、必ず“適用要件”をご確認ください。
教育資金、結婚・子育ての一括贈与に関しては、仮に拠出金額を使いきれずに残額が生じた場合には、贈与者や受贈者の状況等により相続税や贈与税が課税されることになりますので、拠出金額の設定についてはご注意ください。
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- ・平成17年12月9日 第55回税理士試験 官報合格
森下正之税理士事務所 所長
tvkハウジングプラザ横浜がセミナーを開始した平成21年7月当初から登壇し、住宅に関わるセミナーを多数開催。大手生命保険会社などでも、相続セミナーなどの実績あり。