住まいの整え方

引っ越す前の収納計画について

2022.9.20

片付け・収納の専門家、鈴木久美子です。
前回は引越しが決まってから行う荷物整理について、ご紹介しました。ご新居での暮らしが快適になるためには、物を整理していく事はとても大切ですが、同時にご新居での収納計画をイメージすることが大きなポイントになります。
1つひとつの物と向き合っていると、なかなか手放すことができない人も、新居での理想の暮らしをイメージすることで、手放すきっかけとなるはずです。
今回は、引越しをする前にどのような収納計画を立てていけば良いかをご紹介したいと思います。

STEP1 間取りから各部屋をどのように使うか考える

まずはご新居の間取り図を用意して、どの部屋を誰がどんな使い方をするかしっかり考えていきましょう。

当たり前のことではありますが、収納を考えるのが苦手、なかなか片付かないとお悩みの皆さんは、小さな空間の収納方法ばかりにこだわっていて、大きな配置や導線を考えられていないことが多いのです。
例えば、引き出しの中はきれいに収納しているのですが、1部屋は段ボールだらけの物置部屋になっている人や、同じ用途の物があちらこちらに散らばってしまっている人もいます。

用意した間取り図に、部屋の使い方を直接書き込んでいきましょう。

例えば、こんな感じに分けていきます。
◎洋室 1:パパ書斎・仕事や趣味
◎洋室 2 :寝室、家族で就寝
◎洗面所:着替え、洗濯、歯みがき

各部屋でどのように過ごすかをイメージすることにより、その場所に何を置くべきかが明確になってきます。

STEP2 各場所に収納する物をおおまかに記入していく

各部屋の使い方が決まったら、具体的にどんな物を収納していくのが良いか考えて記入していきましょう。

収納計画の考え方としては、その場所で使用するものの近くに収納するのがベストです。

例えば、同じ寝室だとしても、家族全員で就寝だけする、という人もいれば、書斎を兼用する人、ママの趣味のコーナーにもしたい、など用途は様々です。

【寝室】
◎就寝(寝具冬用布団2組、毛布3枚、夏用布団3枚、寝具カバー、類)
◎ママの趣味コーナー(ミシン、裁縫道具、布)
◎ママの衣類(○○着)
◎ママのバッグ(6個)

など、具体的に収納する物を記載しましょう。

また、納戸などは収納するものをイメージしにくい場所でもありますが、基本的には季節性の物や、毎日使用しない物、大きくて収納スペースに入らない物などが挙げられるかと思います。

【納戸】
◎季節の家電(扇風機、ヒーター)
◎季節の飾り(節句人形、クリスマスツリー、パーティ雑貨1箱)
◎思い出の物(収納ボックス2個)
◎スーツケース3個

ポイントは、新居にもっていく物のおおよその数も算出して書き込んでいくことです。自分の物の量を理解しやすくなります。とくにサイズが大きい物は記入していくことをおすすめします。

事前に、各部屋に何を収納していくか、しっかりイメージしていきましょう。荷造りの際には段ボールの側面にどの場所に収めるものか、しっかりと記載してくださいね。

STEP3 収納家具の選別も行う

現在の家で使っていた家具や収納用品のうち、何をどこで利用するかについても計画し、新居に合わない物は処分していくようにします。

処分にも費用と手間がかかりますので、できるだけ使える物は使い、使えない物は新居に持ち込まず処分かリサイクルに出しましょう。

その家具自体にマスキングテープなどで、『〇月〇日に引き取り』など記載して貼っておくのもおすすめです。

また、合わせて新居に新しく購入する必要がある家具の検討もはじめましょう。

引越し後に考える収納

ついつい、引越し前にあれこれと細かいことが気になってきてしまいますが、まずは大枠だけしっかりと決めてしまうことが重要。細かい収納については後回しで大丈夫です。

例えば、シンク下には○○、○○を入れる、とだけ決めれば大丈夫。必要な収納用品は実際の収納箇所を採寸しないとわからないことが多いので、引越した後で大丈夫です。
細かい仕切りや、きれいに見せるアイテムは引越し後のお楽しみにしましょう。

細かい収納計画は引っ越し後で大丈夫。
収納用品の購入は引っ越し後に。

決めれば整う

なかなか片付かない、という人は、決めることが苦手な方のような気がしています。

よく、おおざっぱだから片付けが苦手だとか、神経質だから物が捨てられないという話を耳にしますが、私は、決めることから逃げているから片付かないのだと思います。皆さんの家ですので、決めるのは皆さん自身しかいません。

すでに、ご新居の計画ができている方だと、どのお部屋をどう使うか、というイメージは出来上がっているはずですので、そのルールは破らないようにしましょう。
外枠を決めてしまえば、自然と内側に収めることができる物も決まっていきます。

とりあえずの物置部屋は要注意

今回、STEP1で『部屋の使い方を考える』という事をお伝えいたしましたが、とても重要なので最後にもう一度お伝えします。

私の経験上、多数のお客様の家では、とりあえず空いている部屋があれば、物置にでもしておくか…、と、何でも要らない物まで持ち込んでしまっている方が多いです。

しかし、とりあえずの物置状態にしてしまったことで、物が多すぎてどうにもできず、子ども部屋が必要になったタイミングにお部屋を用意してあげることができない、という依頼をよく受けます。
部屋数はあるのに子供部屋を用意できないだけでなく、子ども用品がいつもリビングに置きっぱなしになってしまうので、リビングも散らかり放題という悪循環になってしまうのです。
現状使う予定のない部屋がある時は、『できるだけ何も置かずに来客用のスペースにする』など意識的に物を置く以外の使用目的を決めておくことをおすすめします。

今回は、引越し前に行いたい収納計画というテーマでお話しました。
引越し前に、新居での暮らしをイメージしながら、持ち込む物を明確にしていくために、図面に落とし込んでいってみてください。そうすることで、無意識に持っていく物が明確になってきます。
自分だったらどうしたいかな?と考えながら、ご家族で話し合って、新居の図面にしっかりと書き込んでいってくださいね。

鈴木久美子
片付け・収納専門家
鈴木久美子
【資格】
  • ・整理収納アドバイザー1級
  • ・住宅収納スペシャリスト
  • ・クリンネスト1級
  • ・整理収納アドバイザー2級認定講師

個人宅の片付けや収納改善を2,000時間以上行い、オンラインでの片付けや収納のアドバイスも全国から依頼を受ける。
セミナーや記事執筆の他、ZIP(日テレ)、ラヴィット!(TBS)、ノンストップ(フジテレビ)などメディアにも多数出演。
https://www.classylife-home.com/