暮らしのヒント

愛⽝愛猫と暮らす住まいの床材・インテリア選び

2025.9.20

愛⽝や愛猫と暮らす家庭は年々増えており、ペットは今や⼤切な家族の⼀員として暮らしに⽋かせない存在になっているご家庭も多いと思います。
その純粋な瞳で⾒つめられるだけで⽇々の疲れが癒され、ストレスが吹き⾶ぶという⽅もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし一方で、実際に生活してみると「爪でキズがついてしまった」「ペット特有のにおいが気になる…」といった問題に直面することも少なくありません。

⼤切なペットも家族の一員ですから、飼い主とともに健康・快適に過ごすためには、住まいづくりにちょっとした⼯夫が必要です。
今回のコラムではペットと暮らすお部屋作りのポイントを、床材選びから家具選びまで分かりやすくご紹介していきます。

床材のポイント | ペットも家族も居心地の良いお部屋に

⽝と猫を飼育する際に⼯夫が必要となる場所は床になります。
可愛い我が仔ながら⽖による引っかき傷に悩まされている⽅は多いと思います。また同時に滑りやすい床によって愛⽝、愛猫の股関節や⾜腰に負担をかけてしまうリスクもあります。

その問題を解消するのにおすすめなのが、床にワックスを塗布する⽅法です。滑りにくくなることでケガの防⽌に繋がるほか、トイレの失敗時や飲み⽔をこぼした際にも、表⾯がコーティングされているため内部まで⽔分が染み込みにくく、床材⾃体を保護する効果も期待できます。

新築やリフォームなどのタイミングで、フローリング材⾃体をペット対応の商品にリフォームする⽅法もありますが、⼤がかりな⼯事が必要となるため、まずはご⾃宅の床にワックスを塗布するところから始めてみるのも良いと思います。

また、より手軽に取り入れられる方法として、フローリングの上に直接タイルカーペットを置き敷きする方法もあります。
メリットとしては汚れた部分だけ交換できることと必要な場所のみ敷くことも可能なので気軽に取り入れやすい点も大きな魅力です。

タイルカーペットの素材としては、ペットの⽖が引っかかりにくいカットパイルのものや、歩⾏性に優れたコルク素材がおすすめです。
柔らかな踏み心地でペットの足腰への負担を軽減できるだけでなく、ご⾃宅に⼩さなお⼦様や⾼齢者がいらっしゃる場合は転倒した際の安全性も考慮できます。
お手入れの面では、水をこぼしても拭き取りやすい素材を選んでおくと、日々の掃除が楽になるでしょう。

⼀つご注意頂きたい点としては、タイルカーペットの裏⾯には必ず滑り⽌めを付けるようにして下さい。歩⾏の際にずれて転倒の原因になることがあるため特に注意が必要です。
設置⾯がフローリングだと予想以上に滑るケースもありますので、設置の際は安全に⼗分配慮するようにして下さい。

消臭対策とインテリア

次に気になるポイントとして上げられるのはペット特有の臭いの問題です。
消臭効果のある内装材として、壁紙やタイル、塗り壁などがあります。
最近では国産メーカーにもペット飼育に対応する壁紙として、消臭機能や耐傷性を備えた製品も多く登場しています。
ペットが過ごす部屋のインテリアに取り⼊れてみてはいかがですか。

⽝の特性として腰壁程度の⾼さ(床から90cmほど)は引っかき傷がつきやすいため、気になる⽅は壁紙ではなく腰壁パネルをセレクトするのも良いと思います。
それによりインテリアのイメージもかなり変化を付けることができます。

猫の場合は⾜場があれば天井の⽅まで登れる特性があるため、壁紙全体を傷に強いものを選ぶ⽅が良いかもしれません。
壁紙以外は、漆喰や珪藻⼟・ゼオライトなど⾃然素材の塗り壁も⼤変おすすめです。
これら⾃体に調湿性や消臭効果があり、室内環境を快適に整えてくれます。
壁紙よりは少しお値段は上がりますが、デザイン性にも優れておりますのでご検討されてみてはいかがでしょうか。

全体を塗り壁にするには少しハードルがある場合には、⼀部の壁⾯だけでもエコカラットのような機能性タイル貼るのも良いですね。
デザインやサイズもバリエーション豊富ですし消臭や調湿性に優れているため、ペットと暮らす家庭にとても相性の良い素材といえるでしょう。

カーテンと窓周りの工夫

カーテンもペットとの⽣活に影響を受けるアイテムの⼀つです。
レースカーテンなどは⽖によって⽣地が傷んでしまったり、汚れが付いてしまうケースもあります。

最近はカーテンにもペット飼育に特化したものが増えており、傷に強い素材や、消臭・防⾳効果を持つ機能性カーテンを選ぶことで、お悩みを解消できる商品もありますので、ぜひチェックしてみて下さい。

近隣への鳴き声対策として防⾳効果のあるカーテンを選択される場合、質量に⽐例して⾳は遮⾳されるため、カーテンの厚みや重さのあるタイプを選ぶと、鳴き声が軽減される効果が期待できます。
完璧ではないかもしれませんが、予防策の⼀つになります。

⼀般的な両開きのカーテン以外にも、バーチカルブラインドもペットの暮らす上でメリットがあります。
⽻を⼀枚ずつ取り外して清掃できるメンテナンス性に優れたもののほか、耐傷性に優れたものや、光触媒による消臭効果の⾼い機能性を持ち合わせている商品などもあります。
ご⾃宅のインテリアイメージやペットの特性に合わせて選んでみてください。

ペットの動きに合わせた家具配置

愛犬や愛猫と一緒に暮らしていると、お部屋ごとに過ごし方が違うことに気づかれるのではないでしょうか。
不思議なもので飼い主の暮らしに合わせて、家族みんなが集まるリビングでは元気よく遊び回り、静かな寝室ではゆっくりと休む時間を過ごしますよね。
お部屋ごとの特性を活かした家具選びを知っておくと、新築やリフォームの際にも安心です。

例えば、ソファやテーブルは壁側に配置し、お部屋の中央にはペットが自由に動けるスペースを確保してあげると良いでしょう。
家具同士の間隔も大切で、ペットが通り抜けやすい幅を意識した配置にすることで、ストレスなく過ごせる環境になります。
また、コード類は家具の後ろに隠したり、専用のカバーを使ったりして、ペットが噛んでしまわないよう注意が必要です。

ダイニングは食事をする場所なので、食べこぼしや飲みこぼし・汚れに対応できる素材選びが重要です。
ペットの食器周りには、撥水性のあるマットを敷いておくと、こぼれた水や食べ物をサッと拭き取ることができます。
テーブル周りの椅子についても、汚れに強い素材を選んだり、クッションカバーを洗えるタイプにしたりすると安心です。

寝室や廊下は、夜中にペットが移動する時のことを考えて、家族の睡眠を妨げずに動ける環境を作ってあげたいものですね。
ペット用のベッドスペースを作る際は、目線を合わせられるようにベッドと同じくらいの高さの台を設置したり、通路に薄手のラグやマットを敷く方法があります。
また安全を考えて、家具の角には丸みのあるデザインを選んだり、コーナーガードを付けたりする工夫も有効です。

いかがでしたでしょうか?
皆様と⼤切な家族である愛⽝、愛猫との暮らしが、ますます豊かで幸せなものになるよう願っております。

山下智恵子
インテリアデザイナー
山下智恵子
【資格】
  • ・インテリアデザイナー
  • ・二級建築士

輸入家具会社や大手組織設計事務所、モデルルーム会社、百貨店内装会社を経て2013年に独立。
住宅、オフィス、店舗、などのインテリアデザインの他にインテリアセミナーの講師も行う。
https://www.estedit.com/