住まい情報

「断熱・気密」って何?

2023.1.10

建物の性能に関する知識を身につけて快適な家づくりを

外観や間取りにこだわって、ついに完成した理想のマイホーム。けれど実際に住んでみると、夏は暑いし冬は寒くて、思っていたほど快適ではないというケースも。そんな事態を防ぐには、家のデザインだけでなく、性能についてもしっかりと考える必要があります。

今回は快適な室内環境に欠かせない、断熱と気密についてお話します。断熱や気密の基本的な知識を身につけて、見た目だけでなく住み心地も大満足なマイホームを手に入れましょう。

断熱や気密ってどういうこと?

断熱と気密は、どちらも外気温の影響を受けにくくし、室内の温度を外に逃がさないようにするためのものです。

「断熱」は壁の外側や内側に断熱材を入れて、外の熱や冷気をシャットアウトし、室内の快適な温度も外に漏れないようしっかりキープすること。
「気密」は建物の隙間を少なくして、家の外と中で空気が出入りしないようにすることです。

断熱性と気密性が高ければ、家の中の温度を一定に保ちやすくなります。
夏になると暑い外気の影響で室内の温度も上がってしまい、十分な断熱・気密性がない住宅は、涼しさを保つためにエアコンが常に忙しく稼働することになります。

一方で高断熱・高気密の家は、外気の影響を受けにくいので暑くなりにくく、一旦家の中を涼しくすれば、建物自体がその快適な室温を保ってくれます。エアコンの消費電力を抑えることができて、お財布に優しいのもポイントです。

断熱工事の一例。壁や天井、床に断熱材を入れていきます。
窓やサッシなど、開口部分の性能も重要なポイントです。

家の性能を表すUa値やC値って何の数値?

家の性能を表すときに、Ua値やC値という用語が出てきます。
Ua値は部屋から逃げ出す熱の量を表す、断熱性の単位。
C値は家の広さに対してどれだけ隙間があるかを表す、気密性の単位です。
どちらも数値が低いほど、性能の優れた家であるといえます。

断熱性はUa値の他に断熱等級でも表されますが、2022年から国土交通省がこれまでの最高等級だった断熱等級5より高い、断熱等級6と7を設けたことが話題になりました。断熱や気密に優れた家はエアコンの消費電力を抑えられるので、最近では省エネの観点からも、社会的に注目度が高まっています。

断熱や気密はどっちが大切?

家づくりでは断熱と気密、2つのうちどちらを重視するべきでしょうか。
実は断熱と気密はどちらかに偏っていては効果がありません。両方の性能が揃っていて、初めて快適な室温が実現するのです。

断熱だけにこだわって気密性が低い家は、厚手のダウンコートを開けっ放しで着ているのと同じです。いくら中綿入りのしっかりした生地でも、コートの中に冷たい風が入ってきては凍えてしまいます。
反対に気密性だけ高い家は、生地の薄いパーカーのファスナーをびったり閉めて着ているようなもの。どちらの着方も冬の寒さを防ぐのに十分とは言えません。家づくりでも断熱と気密をバランス良く考える必要があります。

快適な室内温度なら、冬でも薄着で過ごせます。

断熱と気密って本当に必要なの?

断熱や気密などの性能は目に見えないため、家づくりの予算配分を考えるときに、デザイン面よりも優先順位が低くなってしまう方もいるかもしれません。ですが毎日その家で過ごすことを考えれば、常に心地よい室温が保たれていることはとても重要です。実際に、断熱性・気密性の高い家に住みかえることで、健康状態が改善するという研究データもあります。

例えば、室内環境を整えることで、ヒートショックの事故を防ぐことができます。
ヒートショックとは家の中の温度差が原因で、血圧や脈拍が急激に変動する現象です。高齢になると命を落とすケースもあり、家を建てる段階で対策しておくに越したことはありません。断熱性や気密性が高い家は、家の中での温度差が少ないため、ヒートショックのリスクを抑えることができます。

ヒートショックに限らず、冬でも夏でもある程度快適な室温を保てれば、それだけ身体への負担を減らすことができます。断熱や気密は、長く健康に暮らしていくために大切な要素の1つです。

断熱がされていないとお風呂でしっかり温まれないなんてことに。
いつまでも健康で元気に過ごしたいですね。

家の性能は、住む場所や予算に合わせて考えよう

どれだけ断熱や気密が必要かは、住む場所によっても変わります。穏やかな気候の土地に家を建てる場合、寒冷地と同じレベルの性能は必要ないでしょう。断熱性や気密性の高い家にするにはそれだけ費用もかかるので、予算の範囲内でできる性能を見極めることが大切です。

もちろん、自分たちの家にどの程度の断熱性や気密性が必要かの判断は難しい問題です。まずはハウスメーカーの担当者などに気軽に相談してみましょう。きっと予算内でできる最適な断熱・気密のアドバイスをしてくれます。

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